くう、ねる、おす。

若手俳優を推すひとの備忘録

5 Guys Shakespeare Act1:[HAMLET]を3回観てきた話

 

 

11/20,11/23に計3回観劇した。

 

 

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◇はしゃぎすぎて大千穐楽にとうとうブロマイドを迎えてしまった図

 

ものすごいスピードで着替え、役がどんどん変わる4人と、たった1人一役のハムレット

ハムレットだけは岡宮来夢くんがずっと演じていたのだけれど、ほかの4人もそれぞれハマり役があるな、と感じた。(パンフレットにてメイン役という割り振りがあったと知ったのですが、記事を書いた後に知ったためご容赦ください)

立花裕大さんはホレイショー、橋本真一さんはレアティーズ、法月康平さんはオフィーリア(ガートルードと悩む、どちらも素晴らしかった)中村誠治郎さんはクローディアス。

 

 

 

立花裕大さん

立花さんのホレイショーは初見から恋に落ちるかと思った。今までハムレットは書籍(福田恆存氏訳)でしか触れたことがなかったので、ホレイショーはなんというか、苦労人のイメージが強かった。

彼のホレイショーは苦労人というより、頼りになるが故に苦労するというか……プロジェクトリーダーみたいなホレイショーだった。

というのも立花さんはミュージカル刀剣乱舞でそれこそりぃだぁと呼ばれている役を演じているので、それを私が被せてしまったような気もする。

それを抜きにしても彼がホレイショーをやるたびに生まれた安心感はすごかった。ほかにボローニアスのお父さん感がすさまじかったのは、やはり彼自体に安心してしまったからかもしれない。

ミュージカル刀剣乱舞では、初の舞台参加ということもあり、はっきり言って他の役者たちに押されていたように観えていたけれど、今回の彼は立派な舞台俳優だった。

(とても偉そうに見えてしまって申し訳ない……)

ガートルードも長身でしっかりした体躯の彼がやるのか!?と驚いたけれど、意外としっくりきていた。橋本さんクローディアスとの掛け合いだったけれど、首筋と鎖骨が色っぽくてどぎまぎしてしまった……

 

◇大千穐楽を終えての追記

最後の沈黙シーン、あの張り詰めた空気の中での圧巻の存在感。所在なさげなホレイショーを最後まで全うした姿は何度見ても格好良かった。

 

ハムレット (新潮文庫)

ハムレット (新潮文庫)

  • 作者:ウィリアム シェイクスピア
  • 発売日: 1967/09/27
  • 読んだのはこちら。サラッと読める……わけではないけれど、戯曲が読める人なら読める。
 

 

 

 

■橋本真一さん

レアティーズはラストのハムレットとの決闘裁判が凄まじかった。

彼の殺陣は見たことがなかった(彼のイメージはミュージカルテニスの王子様の樹希彦くんだったので)のもあり、その洗練された殺陣と迸る汗の美しさが脳裏に焼きついている。

橋本さんの印象に残っている役で、オフィーリアをあげようかとても悩んだ……

橋本さんのオフィーリアはハムレットとの尼寺のくだりがあり、ハムレットにもう板の上を縦横無尽に振り回されまくっていたのだが、それに食いつきながらハムレットを説得する様はまさに尽くすタイプの女性だった。

ハムレットのためなら貞淑でいる、ハムレットの嫌なことは絶対にしない、だから一緒にいて欲しい。現代で重いと言われる典型的なタイプの女性だけれど、そんな女性をそれはもう存分に再現していたように思う。

この兄妹の演じ分けを即座にできる橋本さんは素晴らしいな……と素直に感動した。

 

 

中村誠治郎さん

公演アンケートに思わず気持ち悪いことを書いてしまったのだけれど、ガートルードとの対話の前に羽織を靡かせて羽織る姿がまさにクローディアス!クールなヴィラン!!で感動してしまった。(ということを書きました……)

ラストの毒で死んでしまうシーンも彼はクローディアスだったのだけれど、いや、もう仕方ないよ……という感じで1ミリも同情できないクローディアスで最高だった。

中村さん、すごい、どこかで観たことが!?と今の今まで思っていたんだけれどよく考えたらパライソ(ミュージカル刀剣乱舞静かの海のパライソのこと)に出ていらっしゃった、と思い出して唸ってしまった。5Guys……半分以上パライソの出演者……

とにかく存在感がすごかった。もうそれしか言えない……観てない人は円盤を待ってください。

 

 

■法月康平さん

私の中ではBLEACHの一護のイメージしかなかったのだけれど、この方の女形はすごすぎる。ガートルードとオフィーリア、二人の女性を見事に演じ分けた素晴らしい役者さん。

橋本さんでオフィーリアを上げなかったのは、彼のオフィーリアがあまりにも"完璧"だったから。

序盤〜ボローニアス死までのオフィーリアの天真爛漫さが少女のそれだった。

意味もなくドレスのスカートをひらひらさせてみたり、兄であるレアティーズに頑固者だと言われた時の『鏡を見たことがなくって?』、ボローニアスがハムレットに会うなの一点張りだった時の『親子そっくり』という二つのセリフが回を重ねるごとにどんどん少女になっていく。

千穐楽の時の『親子そっくり』なんか『親子そっくり〜』というなじるような、棒読みのような絶妙なニュアンスになっていて、現代の女子高生みたいだった。彼の観察眼がすごい。どこまでもストイックで挑戦的な役者さんだと感じた。

そしてボローニアスの死〜オフィーリアの死までのオフィーリアの狂気とハムレットへの愛の入り混じった芝居は、引き込まれすぎて呼吸を忘れることがしばしばあった。

花言葉4(クローディアス、ガートルード、レアティーズ、ハムレット)へ草花を贈る歌があったのだけれど、その歌で突然笑い出したり、本来なら絶対にしないであろう王であるクローディアスに抱きついたり、いきなり真理に近づいたりを見せる様は"悲しい"の一言に尽きる。

愛してやまないハムレットに娼婦だの尼寺へ行けだの言われても彼を信じ続けたのに、彼はイギリスで死んでしまったという事実と、父であるボローニアスの死の二つの死で心を壊した彼女の異様さがよく出ていた。

ハムレットに渡すのはローズマリー花言葉は変わらぬ愛、私を忘れないで。この場にハムレットはおらず(当然だけどこの場面ではハムレットはイギリスに留学という名の処刑をされに行ったので)、空虚にそれを捧げる姿はいじらしくて悲しかった。

死を衣装を脱ぎ捨てることで表現していたのもあり、オフィーリアの柔らかい白いドレスが地に落ちるシーンは儚くて寂しいものだった。

 

ものすごく長くなってしまってガートルードの話を書くか悩んだけれど、忘れたくないので書く。

法月さんのガートルードの何が良いって、色気が凄まじかったところがとても……とても良かった。

千穐楽を前にパンフレットを購入して、帰宅してから読んだのだけれど、やはりご本人も相当この二人の女性をどうするか考えたそうで、その努力の表れ(この言い方でいいのか分からないけれど)が舞台に表現されていたから、この人は本当にすごいなと思った。

ガートルードの襟元がばっさり開いた赤いドレス、ラストの決闘裁判では(服を捨てることで死を表現するため)黒いシャツを着たまま着てらしたのだけれど、それでも隠せない色香が……女として負けた気がする。

ハムレットがガートルードの寝室に呼ばれるシーンで、ハムレットが彼女を組み敷いて剣に光る自分の顔を見せるところがあったんだけれど、その時こちら(これは1階席で観た)からは法月さんの頭と肩、襟元くらいしか観えなくて、そのはだけた骨張る素肌が色っぽかった。そしてそのガートルードの頭を撫でて素肌をなぞるハムレットの手つきがまた色っぽかったな〜……ハムレットはこの時点で女性への信用を失っているから、わざと官能的な手つきで触ってたのかな、と思うとぞくぞくした。

 

要約:法月さんの女形は色っぽい(ここだけ読んでもらえれば……)

 

 

岡宮来夢くん

岡宮くん(普段はくるむくんと呼んでるのだけれど、ブログくらいはちゃんと呼びたいので)、ものすごく、ものすごく成長していた。

私が彼を生で観たのは去年のミュージカル刀剣乱舞 歌合乱舞狂乱2019だ。

当時はこんな状況ではなかったので客降りもあったし、運良く通路側の席でばっちり彼からファンサをもらったことがきっかけですごく興味を持つようになった。

この時までは興味だった。彼の演じているキャラクターはものすごく人気のある刀だし、私が推してる刀と旧知の仲なのもあって絡みもそれなりにあって知っていたけれど、可愛い子だなあ、くらいだった。

彼への関心が興味から応援したいに変わったのは、今年3月に公演されたミュージカル刀剣乱舞 静かの海のパライソ だった。

この公演、昨今の状況によりたったの7公演しか上演ができなかった幻の作品なのだけれど(来秋に再演が決まっている)、奇跡的に、本当に奇跡的にそのうちの1公演を観ることができた。

なるべくネタバレは控えたいので深くは話さないけれど、その時の彼は美しくて儚かった。

脱線してしまうのでこの話はまた今度書くとして、その3月に観た彼よりまたグレードアップしていた。

ハムレットというのは最初から最後まで復讐や暗い気持ちを抱えたままの青年だから、柔らかくてふわふわした彼がどう演じるのかとても楽しみだった。

期待以上だった。

彼の力強い歌声は歌合の時から惹き込まれていたけれど、より力強く、表現力も増した歌声になっていた。芝居は役柄が違いすぎて比較するのも憚られつつ、それでも感情の発露がよりはっきりして大きくなっている。

 

ぜんぜん関係ないけど、この舞台は定期的に水分補給とマウスガードの飛沫を拭く場面があった。(演出としてあったのは水分補給だけ)

その時に上下でしっかりマウスガードを拭き、コップに注いで水を飲む岡宮くんが小動物的かつ育ちの良さが垣間見えて個人的な見どころになっていた。

円盤にも少しは映っているといいなあ。

ハムレットは一回しか衣装チェンジがなかったので、静かにベストのボタンを留めている彼が可愛らしかったのが印象深い。

法月さんのオフィーリアのところで出たローズマリーを撫でていたところも印象に残っている。あの場でローズマリーを拾うというのはメタ的表現だったけれど、そのローズマリーにオフィーリアを重ねていたのかな、と思うと涙が出そうになる。

ハムレットとオフィーリアの愛は本物だったし、撫でるという行為は、これ以上自分といては幸福にならないと突き放した彼女へ本当はしてあげたかった事なのかな……と。

レアティーズとのやりとりでグッと来たのは、オフィーリアへの別れの言伝を頼む時の手つき。

『悪い男に騙されませんように』と言いながら、レアティーズの首筋から胸元まで掌でなぞる手がセクシーで、知ってる岡宮くんじゃない!!と近所のおばさんみたいになってしまった。

ガートルードとのやりとりは書いてしまったので割愛するとして、ラストにガートルードが毒殺されるシーンで母上と叫びながらその亡骸を抱き締める姿は泣きそうになった。信用はなくとも愛情は消えきらず、最後まで母としてハムレットを愛してくれたガートルードを想い駆け寄るところもよかった……

イギリス行きから親書を奪うシーンも強そうで良かった。『だ、そうだ。ホレイショー!』のセリフのボス感すごい。

ホレイショーとのシーンは本当にホレイショーには心を許している表現がきれいで、明らかに声色も柔らかい。

反対にローゼンクランツとギルデンスターンとの会話は硬い声音。一線引き、壁を張っているのがよく分かる。

この対比がものすごくはっきりしていたのが良かった。

 

 

 

個人的岡宮くんハイライト

・王妃と王子の会話を盗み聞きするねずみ〜というセリフを一個手前の聞き耳を立てていたのか〜というセリフと混ぜてしまい『聞き耳、ねず、きき……』ともにゃもにゃするハムレット(11/20マチネ)

・柱ドン

・ボローニアスの衣装の上でごろごろするハムレット(狂気のシーンだけどかわいい)

・『おやすみなさい、母上』の""の伸びやかな歌声

ハムレットと鑑賞する影絵のコーナー

・両手で杯を包んで毒を飲むハムレット

 

特別編 千穐楽

・カーテンコールで話すことがまとまらず手がわちゃわちゃしだす岡宮くん

4人の言葉に毎回大きな拍手をする岡宮くん

・へへって笑い出す岡宮くん(かわいい)

・両手を腿にぺったりつけておじぎする岡宮くん

・手がふにふにそうな岡宮くん

抱き締めてくる立花さんや法月さん、橋本さんの手が骨張ってて男らしいから尚更際立つもちもち感

4回目のカーテンコール「さっき(3回目)で話したかったこと全部話したので、話すことが何もないんですが……」という素直な発言

 

 

■歌(追記です)

いや、もう、すべての歌が耳に染みついて離れない。

Yu(Vague)さんの音楽が大好きなオタクとしては、今回の舞台音楽はすべて素晴らしかった。

ものすごくニッチな部分だけれど、ハムレットとオフィーリアの尼寺のやりとりの音楽がとても好きで、オフィーリアの『尼寺にはふたつの意味があります。〜』の時に流れていた音楽が、もう、もう最高だった。切なくて美しくて、深い森の中にある大きな湖のような澄んだ音楽だった。

ハムレットと先王の亡霊が復讐せよ、と歌うシーンも音楽と低い歌声がマッチしていて良かった。そこがずっと頭に流れている。

なによりもオープニングから心を掴まれたような気がする。シェイクスピアの文言が入り乱れ、低くも優しい歌声の岡宮くんが4人の歌声にアクセントとして入るこのオープニング。あれを聞く為に大千穐楽のチケットを追加したと言っても過言ではない。(あと法月さんのオフィーリアにもう一度会いたかった……)

Yu(Vague)さんの楽曲の個人的最高峰は舞台『クジラの子らは砂上に歌う』だと思っていたけれど、上位が入れ替わったかもしれない。

早くCDの発売を決定してください。

 

まとめ

 

新型コロナウイルスが流行ってから、そして緊急事態宣言が解除されてから2度目の観劇だった。

今回珍しく席運がよく、2回も2列目センターという好席だったのだけれど、その分フェイスシールドを必ず着用しなければならなかったので反射との戦いだった。

先人たちの知恵を借りてマスクを黒にしたり、日々健康に留意したりしていたけれど、制限がある中でもやはり観劇は楽しかった。

 

 

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  • これを買った。裏がなんかすごいことになってて使いやすい。反射もなかったのでおすすめです。
 

 

 

 

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  • 配られたのはマジックテープタイプのシールドだった。前髪が死んだので今度持ち込み可なところがあればこれを買いたい……。最前のお客さんがこれをしてて賢い!と素直に感激した。
 

 

5人だけでやるハムレット。松崎さんの舞台はいつだって面白いけれど、今回は特別面白かった。

大好きなYuさんが音楽を作っていたのもあり、この作品に恐ろしいほど没入して、観劇して初めて『終わるな』と思った。

いつもは終わることに対して惜しくは思うけれど、また観られるように頑張ろうとか、円盤を買おうとか思って終わりだったのに、ハムレットはだめだった。終わってほしくない、終わってしまえば日常に戻る。戻りたくない。

私の中で強い中毒性のある作品になってしまった。

次回があるなら、ぜひ四大悲劇を完遂してもらいたいし、2.5に限らずフレッシュな若手俳優をどんどん起用して欲しい。

あわよくば、推しが出て欲しいところだけれど……そして、岡宮くんをまた起用していただけると……

あと、CDは絶対に発売してほしい。

素晴らしい歌の数々を、音楽をDVDでしか楽しめないのは勿体ない。

 

5 Guys Shakespeare Act1:HAMLET]は、非日常を極めた恐ろしく完成された作品だった。

 

■最後のまとめ

公式がYouTubeにてダイジェスト動画を投稿してくださった。

このダイジェストで、ぜひDVDを予約してくれる方が増えることを祈っている。

https://youtu.be/D4duSBcyh2c